塙誠一郎句集『家系図』
塙さんは能村研三主宰の「沖」の同人で、作句歴20年の方。序文は能村主宰が、跋文は森岡正作副主宰が、塙さんの人と作品を丁寧に紹介している。選句・構成には広渡敬雄氏が協力したとある。2022年10月22日、ふらんす堂発行。 装丁の美しさ、そして、和綴じ風というのだろうか、開き具...
塙さんは能村研三主宰の「沖」の同人で、作句歴20年の方。序文は能村主宰が、跋文は森岡正作副主宰が、塙さんの人と作品を丁寧に紹介している。選句・構成には広渡敬雄氏が協力したとある。2022年10月22日、ふらんす堂発行。 装丁の美しさ、そして、和綴じ風というのだろうか、開き具...
高尾さんの第二句集。文學の森、令和四年十一月一日発行。氏は山本一歩主宰の「谺」の重鎮で、石川桂郎の「風土」から「琅玕」をへて現在に至り、谺賞や横浜俳話会のみなとみらい賞を貰っておられる。伊豆にお住いのようだ。 自選十句は次の通り。 薔薇剪つてそれからピアノ鳴らぬなり...
及川さんは「きたごち」の人。同結社の賞をもらっている。丁寧な序文は柏原眠雨主宰。お住まいの宮城県登米市はキリシタン殉教の地でもあって、関連した作品も含まれている。殉教は天草だけではないのである。そして東日本大震災にも遭っている。風土性豊かな句集である。本阿弥書店、2022年...
「鷹」の小川軽舟主宰の第六句集である。2022年10月22日、ふらんす堂発行。帯には〈水底に欠茶碗あり蜷の道〉を引き、「私たちは果てを知らない無辺世界に危うく浮かぶように日常を営んでいる。無辺より来たって今在るものは、いつか無辺に消え去る。その過程で偶々出会えた物や心の端正...
友岡子郷さんが亡くなられた。2022年8月19日、行年88であられた。私は、子郷さんを明石に訪ねて、拙著『昭和・平成を詠んで』の客様のお一人としてお話を伺ったことがある。その後、蛇笏賞をお取りになり、東京の祝賀会で奥様ともどもお会いしたものでした。いま、その取材記録を読んで...
令和二年十月二十一日に亡くなられた黛執さんの全句集が、黛まどかさんのご努力で発行された(令和四年同月同日、角川文化振興財団発行)。行年九十。水の秀句が多いことから、この日を「秋水忌」とした。序数句集八冊と、その後の作品などを加えてた2956句を入集。...
鈴木しづ子に詳しい武馬さんと、地縁もあって彼女に傾倒した松永さんの共著である。なかなか読みごたえがある(黎明書房、2022年10月10日発行)。 一〇〇句の解説の中から、小生の「読み」が深まった、あるいは、誤読を正された、あるいは再発見させて戴いた句々を挙げていこう。...
ふらんす堂の百句シリーズである。2022年10月1日発行。瀧澤さんは福田甲子雄をこよなく敬愛した門下生。山梨県笛吹市に住み、俳誌「今」代表をなされておられる。まわりには甲子雄を慕う方々が密に集まっている。 百句の中には小生も愛誦していた句があるので、懐かしく、いくつか挙げて...
黛まどかさんは知名度の高い人だから、ここに紹介するまでもないのだが、月刊「ヘップバーン」創刊主宰であったほか、スペインの巡礼道800キロ、釜山―ソウル閒500キロ、四国遍路1400キロなどを踏破されている。文化交流使としてパリ駐在、京都x俳句プロジェクト「世界オンライン句会...
『俳句の杜』2022 精選アンソロジーより 大石さんの作品100句は「夢」というショート・エッセイから始まる。「夢」にかかわる芭蕉・兜太・完市などの著名な俳句を挙げ、その中に次のような作品を交え、 夢殿をまた通り過ぐ春の夢 塩野谷仁...
この著書を友人から紹介されたのが、ついこの間であった。2021年4月26日(皓星社)発行なので、遅きに失した感があるが、ある事由から、後付けの批判を覚悟しながら、敢えてここに取り上げることにした。 その事由とは、小生もハンセン病療養者には関心があり、その不当な扱われ方と、忍...
鴎座の主宰松田ひろむさんからアンソロジーを戴いた。創刊二十周年の事業として、記念祝賀会を考えたが、新型コロナのせいで、中止せざるを得なかった。そのかわり、合同句集を発行することとして、その名を『絆』とされたようだ。2022年8月1日、鴎座俳句会発行。...
横山さんは名和未知男主宰の『草の花』の同人で、「草の花新人賞」「草の花賞」を貰っておられる。序文では名和主宰が、実に多くの佳句を挙げている。その通り、集中、一句目から最後の句まで、完成度たしかな句が並んでいる。自選句が帯に10句挙げられているが、小生はそのうち6句を戴いてい...
林さんは「俳句四季」と「俳句界」の編集長を経て、「海光」の創刊代表、出版社「俳句アトラス」の設立者でもある。 該著は、初心者から中級者に亘って、読みたくなる俳句の疑問点・テーマと言ったものを通説と私説とを含めて解説している。...
該著紹介の後半として、第二章 黒田杏子の〈櫻〉 第三章 黒田杏子の〈月〉 さらに 第四章 黒田杏子の〈家族〉 と読んで行く。 第二章 黒田杏子の〈櫻〉 該著の三一七頁から三七一頁に亘って、もっぱら杏子の「櫻」の句を訪ねている。...
根来さんは大輪靖宏先生の「上智句会」や「若葉」(鈴木貞雄主宰)をへて、現在、「ソフィア俳句会」と「すはえ」の代表を務めておられる。その句柄は自選句から分かるように、あくまでも静かに対象を見ての句が多い。境涯や社会批判は少ない。大輪先生やそのお仲間の句柄もそうなのであろう。...
和田順子さん「繪硝子」主宰の第六句集である。句集『流砂』で第19回横浜俳話会大賞を貰っている。令和四年九月二十日、ふらんす堂発行。 自選句は次の15句。 いくそたびその名問はれて翁草 石積の集落どこも枇杷熟れて ジーンズに脚入れて立ち夏は来ぬ 炎天を歩む失ふものは無く...
五百頁をゆうに超える大著で、これに年譜を添えればまさに「黒田杏子ハンドブック」完成である。「黒田杏子百科事典」と呼んでもいいかも知れない。黒田の俳句作品をあまねく集めてある。それだけでなく、主要な季語に係わる作品群には、師の山口青邨や、他の俳人の著名な作品をも紹介し、ところ...
豊里氏とは、もう二十年も前になろうか、小生が若手の俳人を取材し、インタビュー記事を「俳句界」に連載していたころ、沖縄をたずねてお会いしたのが初めてであった。そのとき、写真家でもある氏は、小さな洋菓子店の一隅で写真の個展を開いていた。沖縄の人と風景の写真展であった。その句柄は...
畏友伍藤暉之氏は令和四年一月、八十一歳で亡くなられた。草田男門の磯貝碧蹄館の高弟で結社「握手」の重鎮であった。俳句の何たるも知らない小生は、初学から随分とお世話になったものである。 伍藤氏は、仲間内でも大の読書家であり、泰西の文学に詳しい「芸術派」であった。だから俳句も俗な...