染谷秀雄集
- ht-kurib
- 3月31日
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更新日:6 日前

染谷さんは、「夏草」(山口青邨主宰)、「屋根」(斎藤夏風主宰)に学び、平成二十九年には「秀」を創刊され、主宰を務めておられる。かたわら、俳人協会理事事務局長をも務められておられ、句集に『誉田』「灌流」『息災』がある。この句集は、自註現代俳句シリーズ・第13期28とあり、令和七年一月二十五日、公益社団法人俳人協会の発行である。
小生の感銘句は次の通り。
007 麦秋のうねりの中の乳母車
018 秋草を一本挿して妻の留守
025 寒菊を箱に満たして花売女
028 波音のひと夜を干して凍鰈
055 高稲架やひとつ開けたるくぐり口
079 小屋掛の角がよく売れ一の酉
088 つぎの風まではらはらと山桜
107 高床に脚垂れてゐる涼しさよ
110 一滴を溜めて間遠の添水かな
116 水替へてグラスに曇る水中花
123 鵜匠まづ手縄を水に浸しけり
134 てのひらに載せてつめたき落椿
136 水替へてしばらく揺るる水中花
142 長命のひとまた逝けり鳥渡る
151 その上に花びらのせて桜餅
この句集、美しい絵のような旅吟が多い。地名もたくさん出てくる。羨ましいほどの旅歴である。
小生のイチオシは次の句である。
055 高稲架やひとつ開けたるくぐり口
米どころの新潟の風景とある。稲架掛けが始まった。三階建の家ほどの高い稲架で、下部には人が通れるように一つだけくぐり口が設けられている。
こう詠まれると稲架の高さが想像できる。さすが新潟である。魚沼であろうか? そこからは弥彦山は見えるのだろうか・・・「くぐり口」から大景へと、想像が広がる。
有難う御座いました。
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